子供の頃、友達が「バイエルのどこまで進んだ?」を聞くたびに羨ましくて。ピアノ習いたかったけど、父に反対されて、習えませんでした。
だから今、子供達と一緒に習っています。ピアノを40過ぎてから始めました。でも、バイエルはやってなくて、今はツェルニー(チェルニー)さんのお世話になっています。ツェルニーさんの事を調べようと思って図書館に行きましたが、いい本なくて。代わりにバイエルさんの本を借りてきました。
バイエルさんてどんな人かな、どんな音楽なのかな、ツェルニーさんのことも載っているのかなって思って本を読みました。しかしです。バイエルさんのことが詳しく分からないから調べているって始まります。なんだ!なんだ!なんだ!何を言っているんだ。みんなの憧れバイエルさんがどんな人か分からないですって。もう釘付けです。良質なミステリー本に出会ってしまいました。
ちょっと古いので、絶版です。古本などでお探しください。
ミステリー 小説 としての「バイエルの謎」
音楽の本、人物紹介の本って思って手に取りましたが、全く違います。
ミステリー小説
です。バイエルさん自体が謎なんです。どんな人か、知られていないんです。そのバイエルさんその人の謎に迫る、ミステリー小説なのです。しかも、ノンフェクションです。
謎解き小説のレビューはネタバレになる
こんなに引き込まれた本に出会ったのは久しぶりです。初めてかもしれません。著者の安田寛さんにありがとうと言いたいです。
しかし、謎解きのミステリー小説はネタバレになるので難しいです。この本の良さをどうすれば伝えるか考えました。
「バイエルの謎」はどんな本か
「バイエルの謎」はどんな本か。例えるなら…
- 相棒 の右京さんが、「バイエル」に迫る
- 金田一耕助さんが、「バイエル」に迫る
- 浅井光彦さんが、「バイエル」に迫る
- ポワロさんが、「バイエル」に迫る
- NHKの「ファミリーヒストリー」にバイエルさんの子孫が出ている
- カンブリア宮殿で、安田寛さんの謎解きを紹介す
簡単に言うと、良質な謎解きで、謎解きの名手「安田寛」さん「バイエル」のルーツに迫る本です。
ちょっと引用
プロローグ より
「世界的なベストセラーで出版されてから今日まで160年間ロングセラーを続けているバイエル・ピアノ教則本。しかしその作者について、記録がまったく残っていない。バイエルとは何者か?彼の教則本はなぜこれほど長く売れ続けたのか?かつてこれほどの面白い謎があっただろうか。」
あとがき より
「なぜ、バイエルを調べようと思ったのですか、という質問には困惑してしまう。(略)何が一番よかったのか、という問いには、はっきりとした答えがある。それは、バイエルが聴こえてきた、ということなのである。(略)あなたは本当のバイエルが聴こえていますか、(略)大好きだったバイエルが再び聴けてきたエクスタシーの瞬間を共有したいという思いが私の中に今ある。(略)」
著者 安田寛さん
巻末のプロフィールより
1948年生まれ。国立音大声楽科卒、同大学修士課程音楽美学を専攻。2001年より奈良教育大学教授。
なんだろう、引き込まれる。バイエルさんそのもののミステリー性もあるが、安田さんの文章がいい。これは多分、文章の音が良いのだと思おう。難しい名前や、外国の地名など、決して読みやすい部類の本ではないはずです。しかし、流れるように読み続けられる。安田さんはあとがきで、バイエルが再び聴けてきたエクスタシーを共有したいとと仰っていますが、私は、この本と出会えた事を家族や友人と共有したいと思っています。この興奮冷めやらぬままにこのブログを書いています。この熱量が少しでもブログ読者に伝えられればいいなと思いながら書いています。
https://www.ongakunotomo.co.jp/web_content/bayer_sonogo/24.html
バイエルが呼んでいる
バイエルが、呼んでいる。聴いてくれと呼んでいる。さあ、ピアノに向かおう。
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